根来戦記の世界

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旅行記~その② ドイツ・フルダの「18世紀への時間の旅」イベント(下)

 城の横庭にあるイベント会場に入ると、ご覧の通り天幕がズラリ。

 

広い敷地の中にざっと数えただけでも、50以上の天幕がありました。

 これらの天幕は何なのかというと、このイベントにコスプレで参加している人たちのテントなのです。この時にあった説明によると、今回のイベントでコスプレで参加している人たちは、340人以上いたとのことです。天幕はそれぞれコスプレした国、或いは連隊ごとに分かれて張ってあり、ポールには国旗が掲げられています。ドイツのイベントらしく、みな18世紀の衣装コンセプトを厳格に守っており、雰囲気に逸脱した参加者はひとりもいませんでした。

 以下、イベントで撮影した様々な写真を紹介します。

 

ちょうど食事時で、天幕ではみな昼食をとっていました。よく見ると、食器まで当時のものを使っているのが分かります。

 

食事そのものも、当時の方法で調理。わざわざ炉を組んで火を熾し、豆やインゲンを炒めたり、スープを煮ていました。こだわっていますね。

 

天幕の中にはお店もありました。左はかつら屋さん。18世紀のかつらを扱っています。右はロウソク屋さん。鍋に溶かした蝋を入れて、ロウソクの芯を順々に浸して太くしていくという、ちゃんと当時の器具と製法で作っています。1本2ユーロ(320円)ほどでした。他にも多くの出店がありました。

 

そしてこちらは何と、マスケット銃砲店の出店。当時のマスケット銃を扱っている他、修理とオリジナル銃作成も請け負っているそうです。右上の画像の看板の下に並んでいるのが、18世紀に作られた本物のマスケット銃。右下の画像にある、吊るされた牛角は、当時使用されていた、黒色火薬入れになります。

 

カウンターの上にあるのは、削り出し中のオリジナルの銃床です。右の画像は18世紀に作られた、フリントロック式擲弾発射器ですね。爆裂するいわゆる擲弾を放つためのもので、原始的なグレネードランチャーです。日本にも同じように、炮烙火矢を放つ火矢筒がありましたが、現存しているものはあるんでしょうか?

 

コスプレ参加者たち。左は18世紀のヘッセン系ドイツの兵隊とのことです。(連隊名も聞いたのですが、忘れました・・)右はネイテティブアメリカンのコスプレです。独立戦争時には、ネイティブアメリカンの様々な部族がアメリカ・イギリス双方の軍に同盟軍として参加していたのです。しかし白人のコスプレというのは、ポリコレ的にはどうなんでしょう・・・まあ、これがアメリカだと問題になったような気がしますが、ドイツのイベントだからいいのでしょう。

 

 アメリカ独立戦争には、イギリス側として数多くのドイツの領邦が参加したようです(主に傭兵として)。特にヘッセン=カッセル方伯領のドイツ兵は、当時の支配者がイギリス王の縁戚だったとのことで、16000もの兵が大陸に送り込まれたようです。

 アメリカの有名な幽霊、首なし騎士の「スリーピー・ホロウ」はなんとこの独立戦争時にやってきた、ヘッセン系のドイツ人傭兵が元になっているとのこと。独立戦争時に参加したドイツ人に関しては、以下のウィキペディアの記事が詳しいです。

 

 

 それにしても、参加していた人の楽しそうなこと!彼らのニコニコ笑顔につられて、自然とこちらも笑顔になります。

 

アイス屋の前でアイスを食べていると、ヘッセン系ドイツ人の連隊が行進してきました。連隊はアイス屋の前で停止すると、そのまま整列。連隊長が次々にアイスを購入し「ショコラーデ!(チョコ味)」と叫ぶと、「ヤボール!」と答えた兵隊にアイスを渡していきます。他にも「ツィトローネ!(レモン味)」「エアッヘーバ!(イチゴ味)」「ヤボール!」
などのやり取りがあって、笑いました。

 

 とても楽しいイベントでした!ちなみにこのローカル色あふれるイベントには、アジア人の観光客は我々以外には1人も見かけませんでした。イベントを見学した、初めてのアジア人かも。次来る時があれば、是非ネイティブアメリカンのコスプレで参加したいものです。

 最後に14時に行われた、各連隊の行進イベントの様子を貼っておきます。(終わり)

 

よく見たら、最後に黒人兵のコスプレ?をしている人がいますね。ヘッセン系ドイツ人の軍は、兵隊の消耗を現地の黒人で補ったそうなので、それを再現しているのでしょう。連隊行進はこれだけではなく、もっとあったのですが、時間切れで全部は撮影できませんでした。